廣津留真理の子育て応援日記その18〜問題は「解かず」に「暗記」する
ゆく川の流れは絶えずしてしかも、もとの水にあらず〔鴨長明)、とはよく言ったものです。
同じ仕組みが延々と続いているように見えても、そこを流れている本質は刻々と変化しています。
未来を担う子どもたちの良いところを引き出し、育て、今ある先の社会を担う立派な人物になってもらいたい、そんな願いをこめて、親も学校も社会も必死で教育システムの改善をはかっていることは世界中どの国も共通しています。
英語で言えば、教育の目標ははっきりしていて、「子どもたちが英語ができるようになること」その一点です。
小学校で英語授業をするなら、最低でも、現在公立中学校3年間に行っている範囲(英検3級程度)は終わらせるべきですし、それはたいした野望でもなんでもなく、簡単にできることです。現在の内容に15歳まで、なんと3年間も費やすのは、本当にムダ、です。
では、なぜ、小学校英語で中3まで済ませること、ができないのでしょうか。やろうとしないのでしょうか。
それは、まず、教える側が、「英語を教える」のではなく、「英語の教え方を研究」しているからです。その研究が子どもたちの英語力向上に役に立つならOKでしょうが、教え方の追求そのものが目標になることは本末転倒です。
次に、日本の大人たちが、英語を「テストの点数」と「会話力」の2点のみで評価する習慣が身についているからです。それには、これまで自分が経験してきた英語教育経験に加えて、実際英語を使う場面がなかった世代も反映されています。ですから、英語はまずABC、次にBe動詞、という思い込みが抜けないのです。
では、なぜ先生は「教え方を研究」してしまうのでしょうか。それは、教える側を含めた大人たちが「英語は難しい」「子どもたちにはかみ砕いて解説しないとわからない」と思い込んでいるからです。
そんなことは全くありません。子どもにとって簡単すぎて屈辱的なピクチャーカードや、解く時間があったら暗記した方が断然早い文法ドリル問題を「英語」とすり替えるのはもうやめましょう。
問題の解き方をひたすら教えるのもやめましょう。
子どもたちが普通に日本語を学んできている、それと同じように普通に英語を教え、学ぶのが最短です。
「中学校や高校の英語の授業についていけない子どもたちが多いのに、そんなに進んで大丈夫なのか」という反論に対しては、
ついていけない生徒が半数を超える授業内容そのものがもはや「大きく現実からずれている=変えましょう」ということになります。
しかも、実は、ある程度自由裁量をもって「英語」を教えたい、「英語テスト対策」はあとからついてくる、と思っている英語科の先生も多いのでは、と思います。
ゆく川の流れは絶えずしてしかも、もとの水にあらず、あらゆるものは変わっていきます。それをおそれていては進歩はありません。
日本人が英語ができなくても構わない、というのは一昔前ならアリでしたが、日本人を取り巻く環境がこれほどまでにグローバル化してしまった今、近い将来の国益という面でもものすごい不利益であるのは間違いありません。
ご家庭でも、ドリル問題を解いているお子さんを見かけたら、「解かずに解答を暗記してみたら」とぜひ声かけをしてみてください。確実に時間が省けて、力がつきます。
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