お子さまに勝ち癖をつけるために、不調を招く3つの兆しに注目!

お子さまに勝ち癖をつけるために、不調を招く3つの兆しに注目!〜子育て日記27〜

子どもを持つ親、兼、長年教育に携わる大人としての見地から、小学生から高校生までのお子さまの伸び悩みには大きく3つの原因が見えます。これを1つ1つ検証、対応していくことで、必ずお子さまは伸びます。

ご家庭で見過ごすとあぶない3つの不調の兆し:

1.Self Handicapping(前もって失敗の言い訳をつくっておき、その通りにやって失敗する。失敗が、重大な結果を招いても”私の言った通りになったでしょ”と開きなおる。)
2.Procrastination(今やるべき課題を先延ばしにしていくので、進歩がない。”やればできる”と周りに言われると要注意)
3.Health Condition(首から上のどこかに本当に悪い箇所がある:歯・鼻炎や蓄膿・視力・難聴気味か聴覚過敏、など)

本日は、1のSelf handicappingを取り上げます。

入試やスポーツの大会、各種コンクールなど、お子さまの生活にも大人同様の強いストレスがあります。ストレス耐性が弱いお子さまは、”絶対に失敗する”、むしろ”わざとでも失敗する”方向に前もって準備をはじめてしまいます。無意識の行為ですが、これは大変こわいことです。

私の見ている限り、この”失敗するための言い訳”には2種類あります。1つは、熱っぽくなったり、からだがだるそうになったり、といった身体的症状*です。それが、周りの人にわかるくらいひどくなります。

もう1つは、昔からよくある、”テスト前に漫画を読む” ”TVやゲームで時間を費やす”ことです。周りの人に、いかに自分は目標以外の雑事にかまけていたかを語り聞かせるのです。

もし失敗しても、”自分は漫画に夢中だったから(体調が悪かったから)で、真の実力は今回は関係ない”とプライドが傷つきません。成功すれば、周りから、”何もしなかったのに(体調悪かったのに)うまくいくなんて、秀才か天才か”と言われる、と期待できます。(実際は、周りの人も我が事にせいいっぱいですから、その期待ははずれるでしょう)

このような心理状態がほおっておけない理由は、これをやると、ほぼ確実に失敗するから、です。

失敗するために、あらかじめ体調が悪くなるように自分を追い込む、わざわざ漫画を読んでおく、など、保護者様には信じられないでしょうが、これは現実にあるのです。

そして、失敗しても、”ほらね、あの時言ったでしょ。体調悪いから(全然勉強してないから)うまくいかないかもしれないって。”と、失敗したことで満足するかのような発言になります。しかし、実際の心は、失敗に成功した、ことでパニックです。

このあやうい心の動きを防ぐ方法は2つあります。

まず、お子さまに、小さな勝ち癖をつけてあげること、理由を見つけてほめてあげるのです。そうやって日常的に、自己肯定感を積み上げていくことです。自分の核の部分で、ゆるぎない自信を保つことができれば、少々の嵐でももちこたえます。

小さな勝ち癖は、どうやってつければよいでしょうか。部屋の片付けがうまくいった(保護者の心の声:それなりにうまくいっているようだ)、英単語が10個読めた(それなりに読めたような感じである)、食事時の座る姿勢がよかった(注意したらできた)、難しそうな曲や技に挑戦した(それなりにうまい)、など、本当にちょっとしたことです。自分の行動にだれかが注目している、それだけでもお子さまはうれしいものですし、それを私は小さな勝ち癖と呼んでいます。

これは、お子さまのどの行動をどう解釈するか、大人が試されているともいえます。

さらに、このような、自分にわざと不利益をもたらす摩訶不思議な心理状態がこの世に存在することをお子さまに教えておきます。セルフハンディキャッピングというものの存在を知ることで、行為を客観視できるのです。体調不良や言い訳が現れたら、これは強いストレスと不安のパラフレーズで、乗り越えるには平常心に戻ればよいのだ、と、客観的に自己管理ができます。

お子さまが18歳になるまで、うまくいかない時もかならずあります。1度や2度ではないかもしれません。

そんな時、ちょっとした知恵と自己管理で、前向き姿勢で、いやポジティブまでいかなくとも、平常心でのぞんでください。

注)熱っぽくなったり、からだがだるそうになったり、といった身体的症状* 私は医療の専門家ではないので、このような表現をつかっていますが、経験上気づいた、からだがきつそうな感じ全般を表しています。必ず専門医にご相談ください。

続く