今話題の「プレゼンティーズム生徒問題」とは〜廣津留真理の子育て応援日記69
皆さんは、プレゼンティーズムという言葉をご存知ですか。
何かしら心身に不調がある、通院するほどではないがやる気が出ずに実力を発揮できない、このような状態にもかかわらず「勤勉」を重視する社会の規範にがんじがらめになって毎日出社する人が、その場にいることだけで周りの人のモチベーションやチーム全体の生産性を下げていく。。。社会人ではこのような状態をいいます。
プレゼンティーズム、とは、「その場に居ること」という意味で、
ある研究では、身体の不調により 欠勤する(アブセンティーズム)社員がいるよりも、やる気がないのに惰性で出勤する(プレゼンティーズム)社員がいるほうが、なんと会社全体の生産性から見ると4倍も悪影響がある、と言われています。
これは社会人だけではなく、教育機関に属する子どもたちにも当てはまるのです。
インフルエンザのような明らかな感染症の場合は、学校を休むのが「きまり」です。しかし、なんとなく心身がだるい、やる気がないなどの見えない不調の場合は、周りの目もあり休むわけにもいかず、惰性で通学してしまいます。
この「プレゼンティーズム生徒」が周りに及ぼす影響は非常に大きいのです。
大人同様、子どもも、
偏頭痛、腰痛、眠気、耳鳴り、アレルギーなどでなんとなく不調を感じることがあります。誰でもあることですが、
これが、集中力の極端な低下までになると要注意です。
学習の軸は家庭にある、
学習は家庭から、
家庭の文化資本が最も大切、
私がこう力説するのは、
親や本人の手に負えない力が働く学校や総合塾に丸投げすると、
1)目標が見つからず、日常の楽しさもないためにモチベーションの上がらない我が子がプレゼンティーズム生徒になってしまう
2)我が子に問題はないが、学校や塾のクラスにプレゼンティーズム生徒がいるために、クラス全体の生産性(成績・やる気)が結果的に下がってしまう。
心配があるからです。
親の目の前で、サボって寝ている子どもが、学校や塾に行くと突如別人のように熱心に頑張る、とは考えにくいのです。
特に、苦手科目をなんとか頑張らせるタイプの塾や授業では、子ども自身に強い動機がないと、たちまちプレゼンティーズム生徒になってしまうでしょう。
「家では勉強しないから塾に行かせる」と考える家庭が進学面で思うような成果を上げられないのは、「プレゼンティーズム生徒化している我が子を見て見ぬ振り」をしているためです。何よりもまず、深い愛情と注意の眼差しが不可欠です。
同時に、この一見、他人事のようなプレゼンティーズム生徒問題が、
真面目にやっている周りの子どもたちに影響を大きく及ぼします。
クラスを運営管理している大人にとっても、これは相当な問題です。
何しろ、他人の影響でクラス全体の成績が左右されるのですから。
プレゼンティーズム生徒問題に気づいて、「先生、うちの子のクラスを変えてください」と発言した親は、モンスターペアレントまたはクレーマーとして受け止められます。
つまり、それでは何の解決にもならないのです。
家庭は、このリスクを軽減するために、
まず、1)の予防のために、
家庭の教育方針をしっかり築き、
周りに踊らされない確固とした信念、
不得意科目を大量にやらせるよりも
幼い頃から得意科目を2つ作ってあげる工夫、
心身の不調にすぐに気づいてその場で対応できる余裕、
さらに、決められた学習だけが学習ではないので
子どものできることや興味関心の周辺領域にポイントを置いた学習を開拓する勇気、
を持ちましょう。
2)のリスク対応としては、
学校や塾のクラスがなくても
自分自身で短期と長期の柔軟な目標を持ち、
自分で時間管理をして、
マルチタスクをこなせる機敏さを自分で養う、
そんな子どもに育つように、
家庭が子どもの学習に責任を持つのが一番波風も立たない上に、効果的です。
親は見えないところで縁の下の力持ちとして、しっかり学習環境をサポートしましょう。
BY ひろつるまり