廣津留真理の0歳から18歳までの“子育て応援日記”その9
大学センター試験は今週〜その教育投資は成功するのか?
大学入試センター試験が近づいてきました。この週末1月18日と19日の両日です。
地方都市の18歳にとって、これは人生の晴れ舞台、一大事です。
なぜなら、
大学入試のために小学校からせっせと塾に通い、夏期講習に励み、
ひたすら入試問題を解く方法を身につけてきたからです。
さらに、刺激のほとんどない地方都市では、入試は人生の一大イベントなのです。
その証拠に、
高1高2になると、あこがれの東京・関西方面へのオープンキャンパス(夏休みに志望大学や理想大学などをみんなで巡るツアー)に訪れます。
東京へ友達同士で遊びに行くことは許されなくても、「オープンキャンパス」なら親御さんもokします。
実際、地方の生徒さんはいわゆる「難関校」を実際に見たことがないので、それは盛り上がって、
○○大学ペンや○○大学まんじゅうをおみやげににこにこと帰ってきます。やる気もがぜん出るのでしょう。
加えて、センター試験という大イベントは悲しいかな高3の冬たった一度きりしかないので、高1高2で、塾の主催する「センター試験本番チャレンジ」なるイベントに参加もします。本番当日に、受験生でもない高1高2が集まって、本番と同じ問題を時間差で解くのです。
前もってホンモノが体験できる、というわけです。
さて、地方都市に住む多くの家庭にとって、この投資のメリットは何でしょうか。
教育への投資には次の2つの説明があります:
1.人的資本仮説
2.シグナリング仮説
1は、お子さまが、教育を受けることによって、どんどん自分の価値を高めていき、
将来社会に出た時にそれが賃金や評価の形で還元され、結果国の労働生産性が向上する、ことです。
つまり、今受けている教育は、我が子の将来の職業や賃金に貢献する、
教育費を払うだけのことはある、
日本はこの教育システムを続けていて大丈夫、
というわけです。
2は、とても優れているお子さまの能力を、テストや難関大学に合格することで社会に知らしめ、
労働市場で価値ある人材として売る、教育は「シグナル(信号)発信」というわけです。
つまり、地方都市出身でも、情報の非対称性が解消されるので、○○難関大学に合格すれば、本人の就職は有利になるわけです。かつ、難関大学に合格する優秀な人材を輩出することで国の経済成長を、ということです。
様々な意見がある教育の価値ですが、毎年学費や塾費用を捻出する親御さんにしても、
税金を投入する国にしても、高い投資になるのですから、2014年、しっかりと考えていきたいものです。
最近の傾向としては、難関大学に合格するのは都市部の特定の高校からでありもはや地方都市では太刀打ちできそうにないこと、大学全入、海外大学とのグローバル競争などで、日本の高等教育のシグナリング効果が薄れて、1の人的資本としての個人の魅力や価値を高める教育へと移行しているように思います。
同じお金をかけて東京へ行くなら「オープンキャンパス」よりもっと楽しいイベントをお子さまがご自分で探すのはいかがでしょう。
ただでさえ過剰に模擬テストを受けているお子さまです。「センター入試本番を味わう週末」よりも、まとめて読書する時間をもうけませんか。
長期休暇には、受験対策費用を削って、「地球温暖化が本当に起きているのか観察する北極探検ツアー」などはどうですか。
こちらのホンモノ体験のほうが、入試本番模擬テストよりもお子さまのやる気がでるかもしれません。
また、たとえば大分県は学校を出て看護師や美容師、料理人などになる生徒さんも多いこと、農業人口が減っていることもあるので、みなが同じ数学・英語を習うのではなく、中学校くらいから目的別に、
「看護師になってからも使える楽しい化学」「和食を世界に伝える英語」「地元のおじいちゃんの畑を支える生物」などはどうですか。
例:大分県立玖珠農業高校1年生が作る「竹の子水煮缶詰(一缶220円/270g入り)」の中学校バージョン、など。
まあ、とはいえ地方都市は「センター試験」「中学入試」で祭り状態ですが。。
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