【目から鱗】ノーベル文学賞を英語で一緒に読みましょう
こんにちは、廣津留真理です。 今年2025年のノーベル文学賞は、ハンガリーの作家クラスナホルカイ・ラースローさんです。「終末的な恐怖のただ中にあって、芸術の力を再確認させる、説得力と先見性のある作品群」が選考理由です。 目から鱗、読んだだけで生きやすくなる名作の数々、残念ながら現在日本語訳が流通していません。 私と一緒に、英語訳でラースローさんの作品を読んでみましょう。最も読みやすい作品として、こちらを選びました。 「北は山、南は湖、西は道、東は川」 ・短い・英語が比較的易しい・京都が舞台で日本語がそのままバンバン出てくる 英語訳のタイトルはこちらです。A Mountain to the North, a Lake to the South, Paths to the West, a River to the East では、早速kindleでご購入ください。この本の面白さの理由を私なりに述べつつご一緒にページをめくってまいりましょう。 理由① 好きに表現していいんだ!と思わせてくれる 3つあります。 p3 第1章が無い本です。まず、本を開いてください。第2章から始まっています。なぜかな、と2つ理由を考えたのですが、 1つは、数学者ゲオルグ・カントールの「無限」の話に関係ありそうです。詳しくは、p132から始まるエキサイティングな数学話をご覧ください。 もう1つは、music & literatureのインタビューでラースローさんが語っていた、 人間が一人もいない自然だけの風景を見ることができたら、それは「楽園」そのものです。 けれども、次の瞬間、人間がその光景の中に一歩踏み入れた瞬間、 私たちは旧約聖書の創世記の第一章*に戻ってしまう。 そして、その瞬間に、私たちは楽園を失うのです。 *はじめに神は天と地とを創造された 神は自分じぶんのかたちに人ひとを創造された。男と女とに創造された この第一章に関係あるのかもしれません。 始まりがないので、最後まで読み終えても繰り返して読めてしまう「反復」がテーマなのかもしれませんね。 p3-41つの文章がめちゃくちゃ長いです。3ページ冒頭で始まった一文が、4ページ目で終わります。接続詞、分詞、関係詞、コロン: やセミコロン;を駆使しています。その、流れるように続く超長文が心地よいです。味わってみてください。 また、日本語が、説明もなくそのままバンバン出てきます。ふすま、たたみ、げた、たび、この辺はあるあるですが宮大工、流漉、ネリ、京阪、なども。日本語の響きが自分の持つ脳内イメージとしっくり重なり、なんだか心地よいです。 こんなのもありました。Shimaru dooro ni gochui kudasai「閉まるドアにご注意ください」dooro ではなく、doaだとは思うのですが.. 形式にこだわらずに書くことで、読者にわかりやすくなっているのが素晴らしいです。 理由②普通が一番いいんだ!と思わせてくれる p18-19because they were palpable, but unattainable, because they were present, but ungraspable, because they were existence themselves while they themselves were excluded from existence, namely they were so close to existence that they had become identical with it… 今のみんなは、人に注目されるスゴイことをしたり、目標を達成して成果をあげたりして世間の承認を得ないと生きていけないような錯覚に囚われているけれど、いやいや待て待て、外部に自分の存在を説明しようとする行為をやめるだけで、自然に息ができてラクになります。(廣津留真理風解釈) p50he, only and exclusively he, the master, knew, and he knew this from his own ancestors, and […]