廣津留真理の子育て応援日記その8:地方の親は大学受験にどう対応しているのか

廣津留真理の0歳から18歳までの“子育て応援日記”その8

 

私の住む大分県のような地方都市でお子さまを育てる保護者様に向けてこの子育て応援日記は綴っています。
(実際は都市部の方が多く読まれているようですが)

なぜなら、「高度成長期の日本で可能だった」ような、詰め込み勉強をがむしゃらにやって偏差値の高い大学に子どもをやればバラ色の人生が待っている、をいまだに信じている遅れた(失礼!)土地柄に何とか「毒舌」をもって嵐を巻き起こし、「塾不要」「子ども英語ムダ」「教育は家庭から」を訴えるつもりだからです。

日本のトップ高校生の数を1万人とすると、大分のような地方都市からそのような高校生を多数輩出するのは大変厳しい時代です。

というのも、いつも書いているように、そのようなお子さまの最も強力なサポートはご家庭の「文化資本」であることが多く、保護者様ご自身が高い教育によって成功体験を得ています。保護者様が日頃の会話やイベント、旅行などの折々にご自身の価値観を話して聞かせる、あるいは直接学校の科目を教えることも多々あります。

そのようなご家庭は大分県のような地方都市では限られます。また、そのようなご家庭をターゲットとした高いレベルの塾は、商売にならないので大分県には進出しません。まして、競争してまでも入るべき「私立中学校」「国立大付属」もありません。

しかも、文科省の資料を見ますと、高校3年生の4割は地元の大学に進学するのです。なぜ、地方都市のほとんどのご家庭が、小学校から我が子を塾に入れて都会の中学受験のまねごとをするのか全く理解できません。流行が都市部から地方へまわってきた、ということは、そのブームの終焉を意味するだけです。(なので、今教育は国内お受験から留学ブームへと移行中です。)

地方の魅力は「良い公立小学校」「良い公立中学校」「良い公立高校」があることです。そこでみっちり勉強して、放課後や週末は自分の熱中できることをすればよいのです。数学でもテニスでも、音楽でもボランティアでもなんでも良いのです。

教育はコンビニではありません。東京で購入できる商品が大分県でも同じ品質で手に入るコンビニは本当に便利です。ですが、東京基準の大学ランキングや私立学校の価値観を地方に持ってきても、トップ数名(ここポイントです、本当に数名しかいませんから)以外のお子さまが感じるのは「大学ランキングや偏差値へのこだわり」からくる「微妙な劣等感」になってしまい、とてもおとなしい、自己主張をしない成人になる可能性が高いからです。

では、いったい地方に住む親はどうすればよいのでしょうか。

田舎に住む親の一人として、2つの解決策をあげてみます。

ひとつは、その土地を大切にした教育を子どもに受けさせること。

もうひとつは、土地にこだわらずに県境や国境を越えた教育を受けさせること。

前者は、例えば大分県は「おんせん県おおいた」のCMにある通り、温泉の源泉数も湧出量も全国一です。
県内の別府市にいたっては、人が入れる温泉湧出量が世界一です。また、大分県九重町には、日本最大の地熱発電所があります。

このような恵まれた自然環境をもっと深く掘り下げて教育に活用すべきです。単なる工場見学では子どもたちは満足しません。ひとは「唯一無二」の存在に強く惹かれます。このグローバルの時代に「ピカピカのローカルであること」は、その第一歩です。

後者は、お子さまの「好きなこと」「好きになりそうなこと」がある場所ならどこにでも連れて行く、その際計るのは距離ではなく、時間を用いる、ことです。

例えば、お子さまが数学にとてつもない興味をいだいてきて、学校の授業や自習、保護者による家庭学習サポートでは間に合わなくなったとします。

インターネットがある現在、高度な数学を教える塾やグループ、個人の先生は場所さえ考慮にいれなければいくらでも見つかります。そして、まさに良い先生に会えるなら「場所を考慮に入れない」ことが大切なのです。海外を含めてどんな都市でもたいてい1日あれば到着します。もちろん、国境を越えたアプローチという点ではオンライン教育も最適です。

自分の住む土地柄を活かす。

距離ではなく時間で考える。

最後に、地方都市の教育が停滞している最大の理由は「教育の外注」です。すべて学校まかせ、塾まかせ、それはあたかも「教育」が家庭や社会から独立した存在であるように捉えている人が地方には多いからでしょう。おそらく、地方の保護者にとって、お子さまの教育や大学受験は「専門家」が対応してくれる、「保険加入」や「マイホーム購入」と同列です。教育も(ついでに語学も)家庭から切り離すことはできません。教育は家庭から、それは「ヘリコプターマザー」とは全然違います。

とはいえ、このブログを読んでくださるみなさまは、そのようなことはすべてご承知の方ばかりですので、私の声はなかなか大分県内の「昔風の教育」信奉者には届きませんが負けませんし負ける気もしません!!

Children are our future!

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